知半庵について

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旧菅沼家住宅「知半庵」(ちはんあん)は、伊豆大仁(おおひと)にある江戸時代の民家で、国の登録有形文化財(登録番号:第220186・220187号)です。

450年ほど続いた中伊豆の庄屋「菅沼家」が、江戸時代後期(文化5年/1808年)に建て、以来200余年に渡り、菅沼家の人々が住み続けてきました。
「六つ間取り」と呼ばれる建築構造を持ち、神棚には鯉の水差しが置かれるなど、江戸時代の伊豆が偲ばれます。裏には孟宗の竹藪があり、一対の石の祠が、家と敷地を守っています。

「知半庵」は、もとは家の坪庭の名称で、知半は、明治生まれの当主:菅沼謹吾(きんご)の雅号でした。菅沼謹吾の父は、当時、大仁や韮山などを含む伊豆の広い地域だった田中村を立て直したことで知られる村長:菅沼荘治です。長男の謹吾は「菅沼知半」の雅号で句を詠み、絵を描き、多くの画家や作家など芸術家、文化人と交流しました。昭和初期まで五所平之助らと定例句会を開き、久保田万太郎、林芙美子らがよく訪れ、伊豆のま名僧:唯念もたびたび逗留しました。
「知半」とは、「半ば」を「知る」という意味で、謹吾が自らが造った言葉。彼は、人間は、若い時代など極端に走りもするが、結局のところ、何事も「良いころあい」を知ることが人生の幸せだ、と考え、その「半ばを知る」を意味する「知半」を雅号としたのでした。

知半庵

「知半庵」の心を現代に生かしたいと願い、この家で生まれた庵主あわやが、2007年より年に一度、文化交差をテーマとするイベント「知半アートプロジェクト」を開催しています。「知半庵」の内外で、アーティストが創出展開するアートを通じ。伊豆のこの場に人が交差し、現代の伊豆を楽しんでいただければ幸いです。

知半アートプロジェクト委員会 あわやのぶこ+チーム知半
     *1917年度・静岡県文化財団文化活動奨励賞受賞